永遠のハバナ
永遠のハバナ

あなたの夢はなんでしょう?

   できたらそっと教えてください。

キューバの首都、ハバナの夜明け。モロ要塞の灯台の明かりが消えて、小学生のフランシスキートは目覚しで起きると学校へ向かう準備をして、祖母と朝食を。左官工であるフランシスキートの父フランシスコは、バレエダンサーの青年エルネストの家へ仕事に出かけ、79歳のアマンダは街角でピーナッツを売り、エリベルトは自転車で鉄道修理の仕事へ向かい街は動き出します。学校での授業風景、街の工事や工場で働く人々、新市街の公園にあるジョン・レノンのブロンズ像、空港で待つ人々。やがて陽は落ちて夕暮れを迎え、ハバナの街は次第に夜の様相を呈してきます・・・・・・。

『苺とチョコレート』『バスを待ちながら』など、キューバ映画があればマタタビに寄る猫のごとく見に行ってますが、これも3/12から渋谷ユーロスペースで公開されたキューバの映画です。

夜明けから翌日の雨の夜明けまでのとある1日、ハバナに息づく名もない12人の老若男女の人々の姿をナレーションもセリフもほとんど排除して撮られたドキュメンタリー・フィルムです。そこに映し出されるのは人々の表情と動き。演出も大きな事件もなく、淡々とカメラは人と風景を映していきます。

これまでに私が見た映画の中では、あるがままを撮っているということでは『コヤニスカッティ』が一番近いでしょうか。それ以上に手法だけを見れば、カメラが1台あれば誰しもが撮ることができる映画かもしれません。ただ同じように撮ったとしても、この映画のように愛しむような暖かい視線で映像を魅せるのは至難の技だと思われます。なんということのない画面なのに、この街と街に住む人々を愛する気持ちが映像の端々に表れていて、目を釘付けにします。キューバの風景はとても絵になりやすく、また私自身キューバが好きなのですが、決してそれだけが原因ではない魅力を感じました。

また、音楽のように一定という意味ではないのですが、この映像の中には食器の音、圧力鍋の蒸気の音、工場の音、南京豆を炒る音など街の中の音に生きているというリズムを感じます。

好きなシーンはたくさんありますが、キューバのピエロはまずツカミはシントゥーラで始める事(笑)、そしてサックスの音色をバックに木漏れ月がささやきかけてくるようなシーンには思わずため息が出ました。

映画の最後に登場した人々の年齢と名前と職業、そして夢が紹介されました。本当にさまざまな年齢と職業と夢がスクリーンに映し出されます。それまでの映像と結びついて少し暖かい気持ちになって、ちょっぴり切なくもなりました。

『永遠のハバナ』は小さな宝石のような作品で、私がここ数年見た映画の中は間違いなくベスト1と言える映画です。山場もなく淡々としていて決して万人受けする映画ではないとは思いますが、キューバが好きな人、日常の中にささやかな幸せを見出したい人、人と街が好きな人には楽しめる映画かもしれません。


日本語公式サイト


海外公式サイト


【永遠のハバナ(SUITE HABANA) 2003年 キューバ=スペイン】


【追記】

3/12~ 東京・渋谷ユーロスペース
      レイト・ショー 21:10~ (3月中の土日祝のみ10:30の回もあり)

4/未定  大阪・第七藝術劇場(予定) ※詳細未定



by santapapa | 2005-03-14 21:44 | ドキュメンタリー映画 | Trackback(5) | Comments(14)
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Commented by kiyotayoki at 2005-03-15 13:02
santapapaさんのブログにお邪魔するたびに、映画の世界って
広くて深いなあと思わされます。

シントゥーラって腰を前後にクイクイってやるアレでしたっけ(^^;)?
Commented by acoyo at 2005-03-15 14:57
ああ、この映画も呼んでいるぅ、私を呼んでいるぅ~(大藁)。ジャストミートでツボ直撃ですな。大阪はいつやるんだ、どこでやるんだ。

つうか、ここ何年かハリウッドの大作に疲れたというかうんざりしきってて、そうするとなんかノンフィクションへの傾斜が深まるんですよ。ドキュメントといっても勿論、作り手のバイアスがかかってるのは確かなのですが、多分、今主流のアクターズ系オーバーアクトな芝居とか演出に嫌気が出てるんだと思います。んで、心の憩いはイギリス系とドキュメント(藁)。心の弾みはアジア系ってことになっちゃってますね、今。

きっと忘れた頃に、うちの近所で三日限定でやるな、いかねば。
Commented by santapapa at 2005-03-15 21:49
>kiyotayokiさま
この映画は昨年『ベルリン・フィルと子供たち』を見に行った時に予告編があって、見に行きたいなと思っていたのですが、これだけ自分のツボに入るとは思っていませんでした。じわじわと染みて全身に拡がるような映画でした。
シントゥーラは似ているけど違ってまして、足と上半身が固定のまま腰だけをぐるぐる回すセクシーな踊りです。デスペローテとも言ったりしますね。よくサルサではピアノのモントゥーノだけになった時なんかにやる人が多く、手を上げてやることが多いです。キューバだと幼稚園ぐらいの子供でも私の1000倍上手にセクシーにやるんですよね、これが。
Commented by santapapa at 2005-03-15 21:54
>acoyoさま
この映画、つまらない人には退屈で寝ちゃうかもしれませんが、ハマる人はすごくハマると思いますよ。自分の中では本当、近年の映画の中ではベストでした。
今のところ渋谷のユーロ・スペースでレイト・ショーのみですが、2日目の様子ではかなり人が入っていたので、このまま評判になって全国上映とDVD発売を望んでいます。私も、もう1~2回は見に行くかもしれません。
Commented by 加地 耕三 at 2005-03-16 13:09 x
「永遠のハバナ」の宣伝・配給を行っているAction Inc.です。大阪での公開は4月以降に第七藝術劇場で行う予定です。大阪の皆様もうしばらくお待ち下さい。
Commented by santapapa at 2005-03-16 23:56
>加地 耕三さま
Action Inc.の方なんですね。いらっしゃいませ。
まずはこのような素晴らしい映画を配給してくださって、どうもありがとうございます!
また、大阪の情報もいただいて大変感謝しています。多くの方に見ていただけるとおお映画だなと心底思います。
Commented by 永遠の管理人 at 2005-04-27 13:03 x
再び、Action Incです。大阪の公開決定しました。
5/28(土)から、十三の第七藝術劇場です。

そして、ユーロスペースでは昼間の追加上映決まりました。

5/7(土)-5/13(金)12:00-13:40  一週間限定ですが、昼!です。

レイトショーは、今もしずか〜にロングランしております。
みなさまの声援のおかげです。ぜひ、よろしくお願いします!!
Commented by santapapa at 2005-04-29 00:38
>永遠の管理人さま
貴重な情報、どうもありがとうございます!
この映画は本文中にもあるように、この数年の中でもベスト1だと思っていて、多くの人に見ていただきたいと思っています。個人的にも応援していますので、新しいエントリーで宣伝しておきますね。私自身もまた見に行きたいと思っています。
Commented by 栗本 東樹 at 2005-05-01 02:53 x
TBありがとうございます。
もうずいぶん前に観たような感じでしたが、
こちらの文章を読ませていただいて、
再び映画の心地好い余韻がよみがえってきました。
こういう映画は、
あまり大きな声で「傑作!」とは言いたくないですよね。
Commented by santapapa at 2005-05-02 00:01
>栗本 東樹さま
コメントをいただきまして、どうもありがとうございます。
あの心地好い余韻はずっと残っています。決して派手さはないのですが、また見たくなる映画です。
栗本 東樹さまのblogを今回知ったのですが、非常に面白いのでリンクさせてください。
Commented by みつこ at 2005-05-19 22:17 x
初めまして。
遅ればせながらTBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきました。
この映画を観たのは2ヶ月も前なのですが、未だに余韻が残っています。先日同じくドキュメンタリーの「モロ・ノ・ブラジル」を観たら、「永遠のハバナ」ももう一度観たくなってしまいました。
Commented by santapapa at 2005-05-20 00:02
>みつこさま
こちらこそ、どうもありがとうございます。
私はキューバが大好きなのもあって、この映画は心の片隅にずっと住み着いています。また、何度も見てみたい映画です。
『モロ・ノ・ブラジル』もいい映画ですね。濃厚なブラジルの風を感じます。
Commented by sbt at 2005-06-10 01:01 x
はじめまして。TBさせていただきました。
と思ったら、こちらからも、しかも複数TBいただいて、ありがとうございます。
私が見に行ったのは、最終日の一日前だったので、もっと早く見に行って、何回か見ておけばよかったなぁと思ってしまいました。
あのクローズアップの連続には、ぐいぐい引き込まれました。
Commented by santapapa at 2005-06-10 01:11
>sbtさま
はじめまして。こちらこそ、どうもありがとうございます。sbtさまのblogには心の琴線に触れる映画が多く、引き込まれました。
この映画はまた何度も見てみたい映画です。本当にここ数年の映画の中でも、私にとって大当たりの映画です。多くの人にも見てもらいたいですねえ。
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