ツィゴイネルワイゼン

ツィゴイネルワイゼン

19世紀後半を駆け抜けたバイオリン奏者であってまた作曲家であったサラサーテ。彼が生前残した自身の作曲による「ツィゴイネルワイゼン」の録音の針を落とすとかすかに聴こえてくるつぶやき声。謎めいた話に興味を持った時に、ふと









大学教授の青地豊二郎と友人の中砂糺の二人は出会い、一緒に旅をしてその途中で芸者・小稲と親しくなります。1年後に小稲に瓜二つである園という娘と結婚した中砂の家を青地は訪ねて、酒を飲酌み交わし、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」のSP盤を聴きます。レコードから聴こえてくるサラサーテの呟やき声。それは、なんと言ってるかまでは聞き取れない不明瞭なものでした・・・・・・。

俗に言う鈴木清順の「大正浪漫三部作」と言われる作品群の最初のものです。既に2作目の『陽炎座』については以前に紹介していますが、その魁ともなる作品。内田百けんの「サラサーテの盤」が話の発端になっていますが、それを発端に彷徨うように物語は転がっていき、独自の幻想美あふれる作品になっています。

この映画について、ストーリーがつながっているかと言われれば流れのままに進んでいるんでしょうし、美しいかと言われれば醜いばかりの美しさに溢れていると言いますし,面白いかと問われれば面白いと私は答えます。

私にとっては『陽炎座』が一番の映画ですが、この『ツィゴイネルワイゼン』も勝るとも劣らない映画です。夢と現実のはざまでたゆたう世界と風景は日本の感性でなければ作られなかった映像でしょう。セピア色の中に艶やかさを感じるような映像美が目を釘付けにして離してくれませんでした。

思わず引き込まれて行ってしまいそうなラスト・シーンが印象的です。もしかするとそれを見た時には、もう心はスクリーンに吸い込まれて、あちらの世界に行ってしまっていたのかもしれません。


【ツィゴイネルワイゼン 1980年 日本】
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by santapapa | 2005-01-05 23:18 | 邦画
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