博士の異常な愛情

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

「Dr. Strangelove」を「博士の異常な愛情」とは「Carpenters」を「大工さんたち」と訳したような邦題です。まあ邦題をつけるのはなかなか難しいのでしょうし、音楽だとピンク・フロイドの「ATOM HEART MOTHER」が「原子心母」になっちゃったりしますから。かといって勝手にタイトルをつけちゃうと、パット・メセニー・グループの「OFFRAMP」が「愛のカフェ・オレ」になっちゃったり、グローバー・ワシントンJr.の「Just The Two Of Us」が「クリスタルな恋人たち」になっちゃったりしますからねえ(苦笑)。



時代は1960年代の米ソ冷戦時代。USAの空軍基地のリッパー将軍の副官として英空軍のマンドレイク大佐が赴任しますが、突然「R作戦」開始の指令を受けます。「R作戦」とはソビエト連邦の攻撃に備えた緊急報復作戦で、敵の陽動などに踊らされないように基地は完全に封鎖されて厳戒態勢がとられます。連絡を受けた核爆弾を積んだ爆撃機は、全機直ちにソビエト連邦の目標地点に向かいます。ところが実はリッパー将軍は精神に異常をきたして独断で命令を下したことが判明、またこのまま爆撃をするとソビエト連邦の核ミサイルが報復攻撃をすることが分かり、なんとか事態を収めようと大統領以下の要人は国防省の最高作戦室で懸命に回避を画策します・・・・・・。

初めて見た時は、「なんてすごい映画だ!」と思って強烈な印象を受けました。どこまでもセンスの光るブラック・コメディです。白黒の映像ですが非常にマッチした感じ。またタイトルの手書き文字も味があります。核戦争で人類の破滅になろうかというテーマですが、緊急事態に融通の効かない兵士や酔っ払ったソビエトの首相、サイコな将軍にカウボーイな爆撃機の機長、コトを構えたくて仕方が無い将軍と気が抜けないソビエト大使、そして謎のドイツ系学者ストレンジラブ博士と随所に黒いジョークをちりばめてます。ラストのヴェラ・リンが歌う「We meet again」の歌詞と映像のセンスにはうならされまして、映画史に残るのではないかと思っています。

最初映画館でリバイバル上映を見た時は気づきませんでしたが、ピーター・セラーズが英空軍大佐、大統領、ストレンジラブ博士の1人3役をやっています。それぞれに見事に使い分けていますが、特にストレンジラブ博士の怪しすぎる演技がたまりません。

今でもこの映画の話は起こりうる現実でもあり、なかなか人類は賢くなれそうにありません。「いつとも分からないけれど、でもいつかまた晴れた日に会いましょう」と笑顔で言える毎日でいたいものです。


【博士の異常な愛情(Dr. Strangelove: or How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb) 1963年 USA】
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by santapapa | 2004-11-28 22:34 | 洋画一般
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