1994年にベルリン映画祭銀熊賞を受賞して、その秋に日本で公開されたキューバ映画です。トマス・グティエレス・アレアと
『バスを待ちながら』のファン・カルロス・タビオが監督、同じく
『バスを待ちながら』のホセ・マリア・ビティエールが音楽を担当しています。
恋に裏切られて失意のハバナ大学の学生ダビドがカフェテリアでチョコレート・アイスクリームを食べていると、苺アイスを食べるホモ・セクシュアルの芸術家ディエゴが現れます。ディエゴの部屋に誘われたダビドはディエゴの信条や嗜好に不審を抱き、革命仲間に報告します。仲間はディエゴが反革命分子に違いないと決めつけてダビドにディエゴの身辺を探らせますが、ダビドは次第にディエゴの芸術と人柄に惹かれていきます・・・・・・。
この映画が作られた1993年と言えば、キューバでは軍の縮小とドルの自由化が行われた年です。キューバではタブーであった同性愛を描いた映画ということですが、実際は友情物語に近い作品です。描き方もユーモアたっぷりで、始めは主義も性格も正反対でいろいろな違いで偏見を持っていたのを、人間性に接していくうちに共感を持っていく過程が描かれている青春物といった感じです。チョコレート・アイスクリームは男らしさを、苺アイスクリームは女らしさを表すそうですが、向こうではそうなのですかね?実際キューバの人はアイスクリームが好きでよく食べていますけど。
この映画でも太陽の下、美しいハバナの風景がなんともいえず眩しい映画でした。また、ありがちですが最後の部分で最初のシーンを髣髴とさせる部分ではすっかり感情移入をしてしまってぐっとくる場面でもあります。
ディンゴのホルヘ・ペルゴリアとダビドのウラジミール・クルスは、やはり
『バスを待ちながら』に出演していました。
【苺とチョコレート(Presa Y Chocolate) 1993年 キューバ・メキシコ・スペイン】