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復活の日

復活の日 DTSプレミアムBOX

1964年に書かれた小松左京のSF長編が原作のこの映画は、映画自体の上映からもすでに四半世紀近く経っています。また、ソビエト連邦が存在してドイツが東西に分かれていたそんな時代の映画ですが、テーマ自体は現在でも決して古くないどころか、現実になる可能性のある物語です。



1980年代のある冬のこと、東ドイツの陸軍細菌研究所から新種のウイルスM-88が盗まれます。冷凍保存されていたこの細菌は-10度で自己増殖をはじめ、零度を越えると猛烈な毒性を発揮するといった恐ろしい細菌で、それを盗んだスパイは小型飛行機でアルプスを越る途中吹雪の中で墜落。細菌を入れていた容器は割れて雪の中に四散します。やがて春が来ると、ソビエト連邦では羊が集団死、中国ではアヒルの死体が川を漂い、イタリアでは乳幼児が次々と意識不明になるという異常事態が次々に起こります。「イタリア風邪」と名付けられたこの病気は懸命な研究にもかかわらず治療方法が見つからずに、ついには人類は滅亡の危機に瀕してしまいます。南極に残る863人を残して・・・・・・。

今見ると昨今のAIDS、エボラ熱、SARSなどを思わせるような内容です。アクションもののように派手ではないのですが、細菌によって次々に人が倒れていく光景は、地味ながらひたひたと迫ってくるものがあります。次第に人が少なくなり無人化していく都会。そして、冒頭の潜水艦から見える光景は死滅した東京の光景です。

この物語は南極に人が残った後に、もうひとつ大きなお話があります。映画の後半では地震によって自動的に核ミサイルが発射されることによって南極基地も危機に陥る可能性があるということで、それを阻止するために有志がワシントンDCへ出向くことになります。

原作を昔読んで感動した私には、映画を見た当初は今一歩ピンとこなかったのですが、DVDで改めて見たところ、良作だと思うようになりました。説明不足な部分があったりちゃちな部分もままあったりはするのですが、いい映画だと思います。なぜか、印象に残っているシーンはキリスト像と会話するところです。

主題歌はジャニス・イアンが歌っていて、映像ともとてもマッチしていてとてもいい曲でした。音楽担当はテオ・マセロ。サウンド・トラックには当時のフュージョン・シーンのそうそうたるメンバーが名を連ねています。書き出すと以下の通り。
スティーヴ・ガッド(ds)、アンソニー・ジャクソン、ロン・カーター(b)、チック・コリア、ウォーレン・バーンハート、ロブ・マウンジー(key)ラリー・コリエル、スティーヴ・カーン、渡辺香津美(g)デヴィッド・サンボーン、ジョージ・ヤング(sax)デイヴ・ヴァレンティン(fl)ジョン・ファディス(tp)ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラ。

ちなみに映画は感動作ですがDVDのコメンタリーの裏話はかなりの爆笑もので、こちらを先に聞くのだけはやめておいた方がいいと思います(笑)。故・深作欣ニ監督の生前に出してくれてよかったと思うコメンタリーです。あと、海外編集版は「???」が頭上に浮かぶこと必至。謎の作品になっていました。


【復活の日 1980年 日本】
by santapapa | 2004-11-18 23:15 | 邦画
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