Z

コンスタンチン・コスタ・ガブラス監督がイブ・モンタンと組んで作った3部作といわれる作品群の最初のもので、1969年に作られてます。実話をもとにしたサスペンス映画です。当時この映画は大きな話題となって、アカデミー外国映画賞・編集賞、カンヌ映画祭主演男優賞(ジャン・ルイ・トランティニャン)・ゴールデングローブ賞・英国アカデミー音楽賞(ミキス・テオドラキス)・ニューヨーク映画批評家協会監督賞(コスタ・ガブラス)などの映画賞を軒並み受賞しています。タイトルの「Z」の意味は、古代ギリシャ語で 「彼は生きている」という意味を表します。



地中海にある軍事政権が国政を握る某国では、反政府運動が盛んに行われています。会場が借りられないなどの妨害工作にもめげずに運動の中心人物でもあるZ氏は演説を行います。ところが演説を終えたZ氏は広場で車で寄って来た2人組の暴漢に襲われて、病院へ運ばれますが手当てもむなしく死んでしまいます。目撃証言は無視され、警察や憲兵隊は自動車事故による脳出血が死因であると発表。判事も事故死として調査を打ち切ろうとしますが、数々の不審点が浮かび上がってきます。本格的に再調査を始めた判事、次々に狙われる証言者。その中で次第に事件の全貌が明らかになってきます・・・・・・。

この映画にはモデルになった事件があります。1963年5月22日、ギリシアのテッサロニキで開かれた平和集会で、アテネ大学の医学博士であり野党議員であるグレゴリオス・ラムブラキスが交通事故で死亡します。ところが後に、ギリシャにミサイル配備が行なわれることに反対の立場であったラムブラキスを快く思わない憲兵隊の将校が、不満分子殲滅のために右派組織を使って殺害したことが判明します。世論は一気に政府を批判しますが、1967年に右派と軍部がクーデターを起こし、ギリシアの政治は臨時軍事政権が握ることとなります。

後に『ミッシング』の監督も務めたギリシア出身のコンスタンチン・コスタ・ガブラスはこの事件を小説化したヴァシリ・ヴァシリコスの『Z』を映画化しました。当然このような映画にギリシア政府はロケの許可を出さず、撮影はフランスとゆかりのある1962年に独立したアルジェリアで行われています。この映画の内容に賛同したフランスやギリシアの有名な名優たちは「興行収入が入ったら、配当でくれればいいから」という約束で出演をします。実際はフランスで2週間上映される予定だったこの映画はロング・ランに。当時軍事独裁国家であったギリシア、スペイン、ブラジル等では上映禁止をうけたものの、世界中に話題を呼びました。

また音楽を担当しているミキス・テオドラキスはギリシアで軍事政権の弾圧のため獄中にいたので、牢の中から指示を出して戯曲用にストックしておいた曲などを使ったということです。

話だけを見るとオカタイ政治映画のように思えますが、当時ヒットしたことでも分かるように大変娯楽性の高い映画でもあります。今見ると古臭い部分もあったりはしますが、緊迫感あふれるサスペンスの部分や後半検事と新聞記者の活躍で事件がほどかれていくところなどは充分見ごたえがあります。そして、ラストのナレーションが心にずっと残るのではないかと思います。今なお、多くの人に見てもらいたい映画です。


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【Z(Z) 1969年 フランス=アルジェリア】
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by santapapa | 2004-11-17 01:16 | 世界の映画
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